体験&情報マガジン
「信州だいすき」取材記
クロスカントリースキーで真冬の
高原を満喫

銀世界に青空が突き抜ける

霧ケ峰高原は車山を主峰
に蝶々深山、鷲ヶ峰
までの東西約10km、
南北約15kmにわたって
広がっている。
遮るものもなく
柔らかな起伏が続くので、
クロスカントリースキーや
スノートレッキングを楽しむ
には好適の場所だ。

日本最南端の高層湿原といわれる
八島ヶ原湿原を訪れてみた。
周囲をぐるりと囲むコースからは富士山を
始め八ヶ岳、アルプス連峰などを望み、
歩を進めるたびに違った景色が楽しめる。
国の天然記念物に指定されているため、
積雪期でも湿原へは立ち入らないように
注意したい。
霧ケ峰スキー場にはスキーやウエアー
レンタルあり、手ぶらで行くことも可能。
但し最低限の行動食は携行。
筆者もレンタルスキーを利用する
ことにした。霧ケ峰の入り口にある
「双葉屋」でクロスカントリー用スキー
を借りる。
ここで白状すればクロカン体験は
今日が人生で2回目である。
なだらかとはいえ山間部で
滑ったことはないのだが、
生来の楽天家なので何も気にせず
出発!

「双葉屋」
でクロスカントリー用の
  スキーをレンタル

夏は一面の緑で覆われる
八島ヶ原湿原を
左手に見ながら緩い斜面を
アタック。
腰まで埋もれてしまう
雪原もスキーだとこの通り!

青い空、白い雪
雨の予報でも出掛けには晴れたということも一度
ではなく、強力な晴れ女を自負しているのだが、
今日はまた見事な晴天。青い空と雪の白さが強烈な
コントラストを見せている。八島ヶ池の辺りからコース
えと入るが、細長いスキーを操りながら坂を上るのは
なかなか難しい。やっと慣れた頃、湿原を見下ろす
平らな上辺に出た。踏み跡もほとんどない真っ白な
雪は、太陽に照らされて粒のひとつひとつがはっきりと
捉えられる。標高は1500mを超えているが、意外に
暖かく快適である。日常的ではない眩しさと、
素晴らしい景色に興奮し、自分の顔がだらしない笑いに
崩れていくのがわかる・・・。
あちらこちらを眺めながら1時間ほど歩くと昼時となった。
西側の尾根に座り、用意してきた弁当と共にコーヒーを
味わおうと、ペットボトルの水を出してふと思う。これだけ
きれいな雪ならば、コーヒーを淹れてもおいしかろう。
環境破壊も進み、雪を口に入れることなどしなくなった
昨今だが、たまにはこんなこともいい。コッヘルに
山盛りの雪を入れて火にかけた。例え身体に悪くても、
心には貴重な栄養なのである。


雪の少ない南信とはいえ、
標高1500mを超えると、
道標はすっぽり
雪の中に・・・

近くのヒュッテでティタイム

転んだり起きたりを繰り返して進んだせいか、
少々疲労感が出てきた。
何しろ行く手はすべて雪原なので、ゆっくり座って
落ち着こうというのは無理な相談。
午後になって気温が下がって来たので、
長く立ち止ると体も冷えてしまう。
暖をとりながらお茶でも飲もうと、
コースからやや反れた沢渡にある
「ヒュッテジャヴェル」を目指した。
コーヒーを飲みながら冬の霧ケ峰高原の
楽しみ方や野生動物の魅力など、
興味深い話を聞かせていただいた。

こけつまろびつ、
 悪戦苦闘の連続

幻想的な夕刻の雪原

薪ストーブで温まり、おいしいコーヒーとフルーツケーキ
を味わったらまた元気が湧いてきた。歩き始めた地点
までは、湿原をもう半周しなければならない。
ここまで来るとずい分と滑りもマシになってきて、
リズミカルに楽しく進める。天気の変わりやすさで有名
な霧ケ峰だが、多分に漏れず雲が多くなってきた。
午後3時を過ぎるとだいぶ陽も傾き、逆光を浴びた雪原
は朝とは違った美しい表情を見せている。
雪の高原ならではの幻想的な光景。なるべく目に
焼き付けておきたいと思ったが、幸いこの北側のライン
はほとんど平である。隠れていく太陽を惜しむかのように
きらめく雪原を存分に眺めながら、コースの最後を
滑りきった。
八島ヶ原湿原を後にしてもしばらく1面の銀世界は続く。

心地よい余韻を楽しみながら、温泉に浸かるとしょう。

本ページは下記の方の
承諾を得て一部
省略し掲載しました。

◎文   鮎沢 
◎写真  徳永
◎発行  長野放送
◎発売  龍鳳書房

   信州霧ケ峰高原
温泉旅館 双 葉 屋
  
 TEL0266-52-0560
   fax0266-52-0031